自転車の楽しみ方の一つにロングライドというジャンルがありますが、皆さんはブルべという長距離サイクリングイベントをご存じですか?
こんにちは。ここ数年でブルべの魅力にドップリはまっているあかつきです。
今回は『ブルべを走りたいあなたへ』と題してブルべに興味がある、近々ブルべデビューをしようとしている皆さんへ、私あかつきがブルべを走って感じた、事前にやっておくと良い事あれこれをご紹介して行きたいと思います。
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ブルべとは
そもそもブルべってなに?という方のために簡単にご説明から。
ブルべとはノーサポート・自己責任の長距離サイクリングイベントで、タイムや順位には拘らず制限時間内での完走を認定するものです。
ブルべ(仏語 Brevet)は認定を意味します。参加者は事前に公表されているルートに従って走行し指定されたチェックポイントを時間内に通過しゴールを目指します。制限時間はおよそ平均時速15km程度で計算され、努力は要するものの無理のない速度で走れるように設定されています。ブルべの規則、交通法規は厳守です。規定の距離を制限時間内に走ると、コース完走の認定を受けることができます。
*Audax Japanホームページの『ブルべとは』より抜粋させて頂きました。
ブルべは商業イベントとは異なるのでエントリー費用はとてもお安いです。但し事故を含むあらゆるトラブルには全て自力で対応する必要があります。サイクルイベント等で出て来る様なエイドステーションもありません。リタイヤしても回収もしてもらえませんので、全ては自己責任での完結を求められます。そのため参加するには相応のスキルと覚悟が必要となって来ます。
ブルべデビュー前にやっておくと良い事
それではここからは私あかつきがおススメする、ブルべデビュー前にやっておくと良い事をご紹介して行きます。
走力を付けよう!
国内で開催されるブルべはBRM(ブルべ・ド・ランドヌール・モンディオ)を指すことがほとんどで、その走行距離と制限時間は以下の様になっています。
200km 13.5時間
300km 20時間
400km 27時間
600km 40時間
(1000kmや1200km、あるいはそれ以上を走るイベントもあります)
これからブルべを始めようとしている方は恐らく200kmからエントリーされると思います。初ブルべが600kmという方を動画で拝見した事もありますが、それは特異な例という事で・・・
そうです。ブルべの最短距離は200kmからになります。従って参加者には、当然それを走り切れる走力が求められます。練習で200kmの距離を実際に走っておければ言う事は無いのですが、商業イベントや普段のトレーニング等で100km以上走った経験があれば問題無いと思います。
社会人でお仕事をされていると、トレーニングは週末の土日に集中する方が多いかと思います。私も会社勤めをしている身なので、自転車に乗れるのは土日限定となります。そのためどちらか1日は家族に時間をもらって100km以上走る事を習慣にしています。コース設定も途中に必ず峠を1つ以上組み込んで登りの負荷に耐える練習をしたり、一定の負荷で体力の消耗を抑えて走る練習をしています。
目安としては100kmを走り終えても、もう少し走れるくらいの余力を残してトレーニングを終えられれば良いかと思います。残りの一日は短い時間でも良いので軽めに回復走を行い、体をリフレッシュさせておければ更に良いでしょう。
とは言っても走力は人それぞれ異なりますので、いきなり100kmを目指すのではなく、自分の体力と相談しながら徐々に距離を伸ばして行くとスタミナも付いて長い距離を走れる体が出来て来ます。負荷の上げ下げを出来るだけ少なくして一定のペースで淡々と走る事で走行距離も自然と伸びるでしょう。
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装備を整えよう
ブルべに参加するためにはレギュレーションで定められた装備が必要になります。私は形から入るタイプなので、本や先輩ランドヌールが書かれているブログ等を参考に必要な装備品を買い揃えました。私が普段ブルべで使っている装備はこの様になっています。
【身に付ける装備】
①ヘルメット(必須)
②反射ベスト(必須)
③ヘルメット用ライト(夜間走行用)
④ヘルメット用尾灯(400km以上は必須)
ヘルメットは安全装備として当然ですが、何と言っても特徴的なのは反射材の付いたベスト又はタスキでしょう。これは安全上の理由から着用が必須の装備で、これが無いと出走が認められません。私は補給食やちょっとした小物の携帯に便利なポケット付きのベストを愛用しています。
ヘルメットライトはキャットアイのボルト100をヘルメット用ブラケットを使って装着出来る様にしています。普段は頭が重くなるので自転車のハンドルバーに装着しておき、夜の峠越えや暗がりでのパンク修理の際にヘルメットに装着して使う様にしています。
ヘルメット用の尾灯は400km以上のブルべから装着が必須となりますが、私は距離に関係なく常時装着しています。ブルべは公道を使って行われるイベントなので、安全装備、中でも車のドライバーに対して自分の存在をアピールできる装備は多いに越した事はありません。
【自転車に取り付ける装備】
①フロントライト
②リアライト
③ベル
③サイコン
④GPS
自転車は道交法上軽車両になるので、前照灯・尾灯(反射板)・ベルの装着は必須となります。
フロントライトは明るさとバッテリー交換の容易さでキャットアイのVOLT800を愛用しています。400km以上のブルべでは2つ以上の装備が必須ですが、トラブルを想定して私は常に2つ装備しています。
リアライト(尾灯)も400km以上では2つ以上の装備が必須ですが、フロントライト同様常に2つ取り付けています。トンネル走行時にいちいちスイッチを操作せずに済む自動点灯式の物を1つと普通にスイッチでON・OFFさせる物を1つ装着しています。ちなみにリアライトはサドルバッグ等ではなく、車体へ取り付けなければならず、点灯で使用する事とされています。
ベルは走行距離に関係なく必ず装着しなければならない装備です。鳴らす事はまずありませんが、これが無いと車検に合格出来ない上、法律上も違法となるので必ず装備しましょう。
サイクルコンピューターは普段お使いの物で良いと思います。キューシートやコマ図を使ってルートをトレースする方は地図機能は必要ありませんが、ナビを使う場合はGPS機能付きの物が良いでしょう。私はGARMINのEdge820Jを使っていますが、走行距離や速度等のデータの確認が主で、ルートのトレースはハンディーGPSに任せています。
最後にGPSですが、私は走りながらキューシートやコマ図を読む自信が無かったので最初のブルべからGARMINのetrex30xJを愛用しています。元々登山や山歩き等での使用を前提に作られた物で、防水性も高く何より電源が単三電池2本という所が最大の強みです。乾電池ならばコンビニでも簡単に手に入り、とっさのバッテリー切れにも容易に対処出来ます。
必要なスキルを身に付けよう
冒頭でも書いた通りブルべはノーサポート・自己責任の長距離サイクリングですので、スタートからゴールするまでの間に発生するトラブルは全て自力で解決する必要があります。機材トラブルや体調不良、車との事故等全て自己責任で切り抜ける必要がありますので、そのためのスキルはしっかり身に付けておきましょう!
【身に付けておきたいスキル】
①機材トラブルへの対応
②輪行のスキル
③道具を扱うスキル
④補給のスキル
ブルべは走行距離も走っている時間も長いので、おのずとトラブルに見舞われやすくなります。その最たる例がパンクです。スポーツ自転車で公道を走る以上は誰もが経験するトラブルですので、最低でもパンク修理は出来る様にしておいた方が良いでしょう。
それ以外にもワイヤーやチェーンが切れる。ホイールのスポークが折れる、変速機の不調等、様々な事が起りえますので、普段からしっかりとメンテナンスをするか、異変に気付いた際は事前にプロショップで見て頂く事をお勧めします。
しかしトラブルというのは必ずしも自分で対処できる物ばかりとは限りません。自転車が走行不能になったり、天候の悪化や体の不調等、これ以上走り続けるのは危険と判断したら迷わずDNF(Do not finish)しましょう。この時に必要となるのが輪行のスキルです。
輪行は専用の輪行袋へ分解した自転車を入れて、公共の交通機関で移動する方法です。最寄り駅まで距離がある場合はタクシーのお世話になる事もありますが、そんな時でもバイクを輪行袋へ入れておく事で、後部座席へ載せて移動が可能となります。輪行袋は使い慣れていないと上手く自転車を収納する事が出来ないので、事前に自分のバイクを分解して袋へ入れる練習をしておくと良いでしょう。
オーストリッチ製輪行袋はいざという時のお守り代わり。
エンド用の金具もセットで持って行きます。
また輪行とは別に、道具を適切に使えるスキルも身に付けておく必要があります。キューシートを使うのであれば読み方、GPSを使うのであればデータの入れ方や操作の方法、各種工具の使い方、レインウェア等は実際に着用してみて使用感を確かめておく、いざ本番で使う時に戸惑う事の無い様にしておくのが大切です。
そして最後は補給に関するスキルです。ブルべは非常に長い距離を走る為、エンジンとなる体へのエネルギー補給が非常に重要になります。私の場合100km走るのに消費するカロリーは約3000kcalですので、200kmのブルべなら倍の6000kcal+基礎代謝の1600kcalで一日76000kcalが必要という事になります。
体に蓄えておけるグリコーゲンは成人男性で2000kcal程度で、この40%を使ってしまうと力が出せなくなってしまいますから、完走するためには補給=食べる事は非常に重要になって来ます。
では何を食べるかですが、体を動かす時にエネルギーとして消費されるのは主に糖質です。つまり糖質を多く含む食べ物を主に取って行けばエネルギー切れを起こさずに済むという事になります。
私がお勧めするのはおにぎりや稲荷寿司、和菓子等です。これらは腹持ちが良く脂質もそれほど多くないので、胃がもたれずに後半になっても食べ続けられます。特にお気に入りは『かし原』さんの塩羊羹でこれを反射ベストのポケットに入れて、走りながら食べています。
水分はミネラルウォーターをボトルに入れて、汗で失われるナトリウムや電解質はタブレットで摂取するようにしています。スポーツドリンクを飲んでも良いのですが、水で2倍程度に薄めないと糖分が多すぎる上に、甘さに飽きてしまうので最近はもっぱら水を飲む様にしています。後半疲れが出始めた時や気分をリフレッシュしたい時はコーラ等の炭酸飲料を飲む事もあります。
エントリーの準備をしよう
スキルを身に付けるのと並行してエントリーの準備も進めましょう。
【エントリーの準備】
①最寄りの主催団体を探す
②レギュレーションや注意事項の確認
③スポーツエントリーへの登録
④保険の加入
まずはお住いの地域の最寄りの主催団体を探して、その年に開催されるブルべのスケジュールをチェックしましょう。早い所では1月からブルべを開催している所もありますので、早めのチェックをお勧めします。開催スケジュールと一緒にコース毎の難易度も表示されていますので、エントリーの際の目安にされると良いでしょう。
次はエントリーの前にレギュレーションや注意事項の確認をしましょう。参加の条件や各種ルール、必要な装備品の他に最近ではコロナの感染対策も重要となっています。ブリーフィングやコンビニ、商店への入店時のマスク着用はもちろん、筆記用具の使いまわしを避けるためのボールペンの持参等、ニューノーマルブルべのルールをしっかり押さえておきましょう。
レギュレーションや注意事項の確認が済んだらエントリーの方法の確認です。ブルべのエントリーは『スポーツエントリー』のサイトから行うことができますので、事前に自分の個人情報を登録してアカウントを作成しておく事をお勧めします。最近はブルべも参加者が増えて、参加し易い200km等はあっという間に定員に達してしまう事もありますから、入力する情報はメモに書き出しておく等の対策をお勧めします。
スポーツエントリーの登録が済んだら、実際にブルべにエントリーする前に保険に加入しておきましょう。ブルべにエントリーする際は保険への加入は必須となっており、保険の情報も入力を求められます。補償額については書く主催団体のホームページからレギュレーションや注意事項をご確認下さい。
リハーサルをしておこう
最後にお勧めするやっておくと良い事は、リハーサルです。いわゆる試走ですね。試走と言っても全工程を走る必要はありません。私の場合は本番の時と出来るだけ同じ装備で最初のPCまで走ってみました。これをやっておくメリットはいくつか有って、一つ目は装備の使用感を確認出来る点です。ブルべ当日に初めて使う装備品が予想に反して使いにくかったとか、GPSの操作に手間取ってスタート前にあたふたすると言ったような失敗を事前に消しておく事が出来ます。
二つ目は一度コースを走っておく事で、スタート直後に気持ちが舞い上がるのを防ぐことが出来ます。初参加の時は誰しも緊張しますし、ついつい出だしでオーバーペースになってしまいがちですが、一度走った事のある道であれば落ち着いてスタートを切る事が出来るでしょう。
あとは本番前日に栄養と睡眠をしっかり取り、忘れ物と寝坊に注意すれば大丈夫です!
今回はこれからブルべデビューをしようとしている皆さんへ向けて書いてみましたが、いかがでしたでしょうか? 苦しくも楽しい非日常の世界を是非体験してみて下さい。それではまた次の記事で。
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