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コラム

【コラム】ロングライドとホイールの話

自転車を構成するパーツの中でもホイールは特に走りに直結するパーツです。

それゆえに多くのメーカーから様々なコンセプトのホイールが数多く販売されているわけですが、今回は用途をロングライドに絞って掘り下げてみたいと思います。

私が愛用しているホイールも含めてロングライドに適していると思えるホイールについて、あれこれと考察してみます。

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ホイールの材質による違い

現在ロードバイクのホイールはその材質によりアルミ製とカーボン製の二つに大きく分類されます。

では材質の違いはどんな事に影響するのでしょうか?それぞれのメリット・デメリットは?またどんなホイールがロングライドに向いているのかも含めて見て行きましょう。

重量の違い

まずはアルミホイールとカーボンホイールの重さの違いについて見てみたいと思います。

素材による重さの違いを比較するには同一メーカーのホイールで比べてみるのが良いと考え、今回はMAVICのロード用ホイールのデータを参考に比較してみたいと思います。

では最初にMAVICのアルミホイールの代表格であるKSYRIUM SL DISCのデータから見て行きましょう。

写真はMAVIC サイトより引用

■MAVIC KSYRIUM SL DISC重量データ

Front 723g
Rear 852g
Pair 1575g
Rim height 22mm

重量が前後ペアで1600gを切っているのはかなり軽量で、さすがはアルミモデルのフラッグシップと言えるでしょう。

KSYRIUM SLはMAVIC独自のISN4Dと呼ばれるリムを採用しており、スポークの接続部以外の肉をマシニング加工により削ぎ落す事で、強度を保ちつつ軽量化を実現しています。

ちなみにリムハイトは22mmで幅は19mm、チューブレスタイヤにも対応しています。

 

つづいてはMAVICのカーボンホイールのフラッグシップであるCOSMIC  ULTIMATE  45 DISCのデータを見て見ましょう。

写真はMAVICサイトより引用

■MAVIC COSMIC  ULTIMATE  45 DISC重量データ

Front 575g
Rear 680g
Pair 1255g
Rim height 45mm

COSMICの重量を見るとKSYRIUMより更に軽く1300gを切っています!

リムハイトは45mmとKSYRIUMの2倍以上あるのに、重量では300g以上も軽いなんて、カーボンホイール恐るべしですね。幅は27mmとワイドでチューブレス、クリンチャーのいずれにも対応しています。

COSMIC  ULTIMATE  45 DISCはスポークもカーボン製なので、この軽さもうなづけます。お値段もULTIMATE級なのは言うまでもありませんが・・・

以上のことから重量においては絶対的にカーボンホイールの方が優位だと判ります。

■アルミホイールとカーボンホイールの重量比較まとめ

・アルミホイールと比較してカーボンホイールの方がより軽量に出来ている。

・ホイールが軽量な分バイクの重量も軽くする事が出来る。

・カーボンホイールはリムハイトを高くしても重量でアルミより軽く出来る。

 

空力性能の違い

次はエアロ性能の比較ですが、これは皆さんご存じの通りカーボンホイールが絶対的に優位となります。

エアロ効果をより上げる為にはリムハイトを高くする必要がありますが、重量の所でも確認した通りアルミホイールは素材の性質上リムハイトに比例して重量が重くなってしまい、バイクの性能に悪い影響を及ぼしてしまいます。

その点カーボンホイールはリムハイトをアルミの3倍近くまで高くしても、重量はアルミホールとあまり変わらないのです。

ちなみにKSYRIUM SL DISCの3倍のリムハイトをもつCOSMIC SLR 65 DISCのデータはこの様にないっています。

写真はMAVICサイトより引用

■MAVIC COSMIC SLR 65 DISCのデータ 

Front 745g
Rear 875g
Pair 1620g
Rim height 65mm

しかし用途をロングライドに限定した場合は、ここまでエアロ効果に振ったホイールはお勧めできません。

特にブルべなどでは雨天や強風の中での走行を強いられるケースもざらですので、横風の影響を受けやすいディープリムホイールはデメリットの方が大きくなってしまうでしょう。

やはりこの手のホイールはタイムトライアルやトライアスロンなどのスピードレースで使ってこそ真価を発揮出来ると言うものです。

しかしブルべでも平地走行が多いコースレイアウトであれば、先にご紹介したCOSMIC ULTIMATE 45 DISCは非常に有効なホイールであると言えます。

また逆に登りの多い山岳ブルべであれば、こちらのカーボンホイールが威力を発揮しそうです。

写真はMAVICサイトより引用

MAVIC COSMIC SLR 32 DISCです。

主なデータはこちらの様になっています。

■MAVIC COSMIC SLR 32 DISCのデータ

Front 630g
Rear 760g
Pair 1390g
Rim height 32mm

リム幅は21mmでもちろんチューブレスにも対応していますしスポークはしなやかなスチール製です。

余談ですが私がブルべ用でカーボンホイールを1セットだけ購入するとしたら、迷わずこのホイールを選びます。

それでは空力性能のまとめです。

■アルミホイールとカーボンホイールの空力性能の違いまとめ

・エアロ効果においてはリムハイトを高くしても重量を抑えられる分カーボンホイールが優位となる。

・リムハイトが高くなりすぎると横風などの影響を受けやすくなるためロングライドでは適度(40mm前後)な高さが望ましい。

・ブルべではコースプロフィールに応じてリムハイトを使い分けられるとより効果を実感できる。

 

強度・剛性の違い

ホイールの剛性や硬さはロードバイクのフレームと共通した特性を持っていると思います。

ここでもMAVICのホイールを例にあげて考察しますが、良くレース会場などに出店されているMAVICのブースや、You Tubeの動画などでもみられるデモンストレーションがあります。

アルミとカーボンのホイールのリム単体をリムの一か所を握って地面に押し付けると言うものです。

カーボンホイールのリムは非常に硬く剛性も高いため、リムの輪がほとんどたわみません。

それに対してアルミホイールのリムは力をくわえて押すと、しなやかにたわみます。

これは先にも述べた通りバイクのフレームと似ており、硬いカーボンホイールは応答性が良く、パワーを掛けて踏めばリニアに反応して進んでくれます。

それに対してアルミリムは適度なしなりがある分、リニアな応答性ではカーボンに劣りますが、踏み込んだ際に足にやさしく、長い距離を乗っても足残りが良いという、クロモリフレームの様な効果が期待出来るのです。

またカーボンホイールは軽量で硬い分衝撃には弱く、段差や道路の穴でリムを強打すると、リムが割れて走行不能に陥る危険性があります。

また輪行の際も注意が必要で、リムに側面から大きな荷重がかかると、割れてしまう事がありますので、取り扱いはアルミリムのホイールより気を使う必要があります。

一方アルミリムは素材がしなやかな分非常に丈夫で、カーボンホイールほど気を使う必要が無い所は大きなメリットだと思います。

私の様ばズボラなライダーにはアルミリムが向いているでしょう。

ここで素材別の強度・剛性の違いをまとめると、

■アルミホイールとカーボンホイールの強度・剛性の違いまとめ

・カーボンホイールは高剛性で硬く、踏んだ時の応答性や加速性能が良い

・カーボンホイールの特性上、レースに適しているが、ロングライドでも十分使える

・カーボンホイールは材質の特性上割れる恐れがあるので、扱いには注意が必要

・アルミホイールは剛性ではカーボンに劣るが、適度なしなやかさがあり、長距離では足に優しい

・アルミホイールは材質の特性上破損に強く、トレーニングからロングライドまで1本でこなせるものが多い

 

価格の違い

アルミホイールとカーボンホイールの材質の違いで、軽さに次いで分かりやすいのは価格の違いでしょう。

アルミホイールはリムの溶接と切削加工で作られるのに比べ、カーボンホイールは炭素繊維のシートを重ねて整形し窯で焼いて整形するため、材料費も加工コストも高くなり、それが値段の差として表れています。

ここまでご紹介したMAVICのラインナップの価格を一覧にするとこの様になります。

■MAVICロードホイール価格比較表

COSMIC SLR 65 DISC \319,000
COSMIC ULTIMAIT 45 DISC \682,000
COSMIC SLR 32 DISC \319,000
KYSRIUM SL DISC \126,500

やはりCOSMIC  ULTIMATE  45 DISCは価格もULTIMATEという事ですね。

ちなみにKYSRIUMシリーズにはセカンドグレードのKYSRIUM S DISCというモデルがあり価格は¥100,100ですが、プラス¥30,000弱でフラッグシップのSLに手が届くので、断然SLがお勧めです。

それでは価格のまとめです

■アルミホイールとカーボンホイールの価格の違いまとめ

・カーボンホイールは製法や素材のコストから高価になる傾向がある

・アルミホイールは素材の入手性の良さと加工のし易さで価格が抑えられている

・カーボンホイールのフラッグシップモデルはアルミホイールのそれと比較して5倍以上の価格となっている

ロングライド向けお勧めホイール考察

それではここからはロングライドやブルべで活躍してくれそうなホイールについて見て行きたいと思います。

ロングライド・ブルべにお勧めカーボンホイール

まず最初はイタリアの有名メーカーcampagnoloのエンデュランス向けホイールであるSHAMAL CARBON DBです。

写真はカワシマサプライのサイトより引用

重量はペアで1585g、campagnolo独自のG3組スポークが特徴的なホイールです。

リムハイトはフロント35mm、リア40mmとなっており2-WAY FITでクリンチャーとチューブレスの両方に対応しています。

独自のMoMagテクノロジーでリムテープを必要としないためメンテナンス性と軽量化の向上を図っています。

リム幅21mmでロードタイヤなら30mm、グラベルタイヤなら最大45/50mmまで履けます。

価格は¥287,100とカーボンホイールでは¥300,000を切る設定となっているのも魅力です。


つづいてはcampagnoloの姉妹ブランドであるFulcrumからWIND 42です。

写真はカワシマサプライのサイトより引用

重量はペアで1510g、リムハイトは42mmの2-WAY FITです。

コンセプトは性能と快適性のバランスを目標としており、軽度のオフロード走行までこなします。

価格は¥266,200となっています。Fulcrumと言えばRACING ZERO CARBONが真っ先に思い浮かぶかも知れませんが、ロングライドをメインに使うのであればWINDシリーズの方が足に優しそうです。


次は空力のところでもご紹介したMAVICのCOSMIC SL 32 DISCです。

空力ではCOSMIC  ULTIMATE  45 DISCに分がありますが、価格とオールラウンドに使える特性から私はSL 32 DISCをお勧めしたいです。

写真はMAVICサイトより引用

スペックは空力の所でご紹介しているので割愛しますが、もちろん2‐WAY FITでリムテープも必要ありません。

価格は¥31,9000と少しお高目ですが、お勧めのホイールです。


次は日本が世界に誇るブランドSHIMANOからULTEGRA WH-R8170-C36-TLチューブレスセンターロックディスクブレーキです。

写真はSHIMANOのサイトより引用

重量はペアで1488g、リムハイトは36mmで幅は21mmとなっており、25c~32cのクリンチャー・チューブレスタイヤに対応します。

価格はSHIMANOオンラインショップで前後合わせて¥228,618となっておりますが、大手通販サイトでは¥200,000を切る価格で購入が可能の様です。

他の海外メーカーと比較しても価格は控え目で安心のブランド力という事で、非常にコスパが良いのではないでしょうか。


ロングライド・ブルべにお勧めのアルミホイール

続いてはロングライドやブルべで活躍してくれそうなアルミホイールを見て行きましょう。

丈夫で日常使いから週末の長距離イベントまでオールラウンドにこなしてくれる所が魅力です!

まずはCMPAGNOLOからZONDA DBをご紹介します。

写真はカワシマサプライのサイトより引用

ZONDAはリムブレーキの時代からロングライド界隈ではド定番のホイールで、非常に乗り味が良く、最後まで足を残せるホイールとして有名です。

残念ながらチューブレスには非対応ですが、重量も1,675gとそこそこ軽量に仕上がっています。

リムハイトはフロント26mm、リア28mmとなっており、スポークは定番のG3組となっています。またリムテープが必要ないため、メンテナンスも楽で軽量化にも貢献しています。

定価は¥121,000ですが、とても人気のあるホイールなので価格もこなれており、アンダー¥100,000で購入出来るでしょう。

私も機会が有れば一度は使ってみたいホイールの一つです。

続いてはFulcrumから定番のオールラウンドホイールであるRACING 3 DBのご紹介です。

写真はカワシマサプライのサイトより引用

Fulcrumのアルミホイール群ではセカンドグレードにあたり、完成車からのグレードアップではこちらも定番となっていますね。

ペアの重量は1660gでリムハイトは前後ともに28mmの2-WAY FITとなっており、快適性は上位グレードのRACING ZEROより25%も向上しているそうです。

定価は¥134,200とZONDAよりも少し高額で、大手通販サイトでも¥100,000を少し超えてしまいそうです。

次にご紹介するのはホイールの重量の所でもご紹介したMAVICのKYSRIUM SL DISCです。

写真はMAVIC サイトより引用

重量の所でスペックはご紹介してるため割愛しますが、前にご紹介した2メーカーのアルミホイールよりも更に軽量で丈夫なので、1セットで普段使いからイベントまでという使い方にピッタリです!

定価は¥126,500で、値下げ幅は他メーカーのアルミホイールよりも少なく、アンダー¥100,000とは行きませんが、セカンドグレードのKYSRIUM Sとの価格差が¥26,400ですので、断然SLの方がお買い得だと思います。

最期にSHIMANOのホイールをご紹介したかったのですが、SHIMANOはラインナップの見直しにより上位グレードのアルミホイールが消滅しているため、今回は該当なしとさせて頂きます。

私の愛用ホイールご紹介

蛇足ではありますが、私が普段愛用しているホイールについてもご紹介させて下さい。

私はリムブレーキモデルの自転車しか所有していませんので、MAVICのKYSRIUM ELITEを長年使っています。

私の愛用しているKYSRIUM ELITE

こちらのホイールはアルミリムのクリンチャー用で購入当時はアルミリムモデルのセカンドグレードでした。

セカンドグレードながらISM4Dのリム仕様となっており、重量1550gと軽量ですが非常に丈夫です。

正にオールラウンドホイールと呼ぶに相応しく、普段のサイクリングから600kmのブルべまで全てこのホイール1本で行けてしまいます。

現在はKYSRIUM ELITEはラインナップから消えてしまいましたが、KYSRIUM SLは健在ですので、リムブレーキユーザーの方は是非履いてお試し下さい。

まとめ

今回はロングライドとホイールの話と題してお送りして来ましたが、ご紹介したいホイールが多くて、つい長くなってしまい申し訳ありません。

ここまでの考察からロングライドにお勧めのホイールの結論としては、お勧めのアルミホイールの所でご紹介した3本とさせて頂きます。

理由としては低めのリムハイトにより横風などの悪天候に強く、しなやかな踏み心地で足に優しい。

加えて、堅牢な作りで出先でのトラブルが起き難い所が決めてとなります。また価格もカーボンホイールに比べて安価で幅広い用途で使い回せるところも利点だと思います。

但しこれはあくまで私個人の見解であり、カーボンホイールがロングライドに向いていないと言うつもりは毛頭ありません。

乗り手が変われば、それに合う機材も変わりますので、今回の記事が皆さんのホイール選びに少しでもお役に立てれば嬉しいです。

それではまた次の記事で。